以下は下記原文 2004/06/25(JST)時点の 翻訳
です。
転記などはご遠慮ください。
オリジナルの知的財産権は University of California に属します。
原文:
SETI@home's transition to BOINC
最終更新時刻 2006/03/01 01時17分 JST
SETI@homeの BOINCへの移行 |
|
我々は新しい版の SETI@home をリリースしました。 この版では
BOINC という
分散コンピューティング向けの汎用プラットフォームを基礎に使っています。
ぜひ、この新しい SETI@home に切替えることをお勧めします。
新しいこの版に何か問題が出たら、アンインストールしてもとの
'Classic' 版の SETI@home に戻ることができます。
そのスケジュールは以下のとおりです:
-
2004年5月14日に、我々は SETI@home Classic に参加している人の
情報(アカウント、チーム、プロファイル)のスナップショットを
取りました。 これを使い、新しい SETI@home データベースを初期化しました。
-
2004年6月22日に、SETI@home/BOINC を一般使用できるようにしました。
SETI@home Classic も SETI@home/BOINC も走らせることのできる
「移行期間」を設けます。 この移行期間の間、
SETI@home Classic のアカウントとチームについて、
変更をすることができますが、その変更はSETI@home/BOINCには引き継がれません。
-
SETI@home/BOINCが順調に動き、かつ、ほとんどのプラットフォーム向け
のSETI@home/BOINCの版が使えるようになったら、従来のSETI@home用
のデータサーバを停止します。
この時点で、SETI@home/BOINCに移行することが必要になります。
質問への回答
なぜSETI@homeは、BOINCに切り替わろうとしているの?
いくつかの理由があります:
-
BOINCは透過的、かつ安全に、アプリケーションの新しい版をダウンロードします。
これによって、参加者にダウンロードとインストールの手間をかけさせずに、
私たちは SETI@home をアップグレード、あるいは拡張することができます。
再観測で得た、1サンプルあたり8ビットのデータを解析できるようにしたり、
短時間の広帯域パルスのような[今までとは]異なるタイプの電波信号を探すなど、
新しいアルゴリズムを追加することが、簡単にできるのです。
-
BOINCは従来のSETI@homeに比べて、より柔軟なデータアーキテクチャをもっています。
複数のサーバからデータを転送してくることができますし、
PCのディスク上にそのデータを溜めることもできます。
将来、より広い周波数範囲で、地球外からの信号を探索するために、これらの
能力を使うことができるでしょう。
-
BOINCは、ホストパラメタ(host parameters)に基づいて、仕事を分配します。
あるワークユニットが、たとえばRAMを512 MB必要としたとしましょう。
そのワークユニットは、少なくとも、その必要量以上のRAMを持ったホストに
しか、送られることはないでしょう。 従来のSETI@homeが、
「全てのマシンに同じサイズ[のワークユニット] 」だったのに比べて、
BOINCは、より広い範囲の計算に適用できるのです。
-
他の分散コンピューティング・プロジェクトも、BOINCを使っています。
ですから、あなたが使える計算時間[つまり計算パワー]を、
あなたの選んだプロジェクトの間で共用させることができます。
両方の版を同時に走らせることができますか?
いいえ。 もしそうすると、SETI@home/BOINC は
より低い優先順位で走るので、
CPU時間を少しも使えなくなってしまうからです。
SETI@home Classic をアンインストールしてから、
SETI@home/BOINC を走らせてください。
私のワークユニット合計はどうなりますか?
BOINC の各プロジェクトは、さまざまな長さのワークユニットを、
持っているかもしれません。 そのためBOINCは、
あなたのコンピュータがした仕事の量を、
ワークユニットの数ではなくて、
実際になされた計算の量 をものさしにして、把握します。
この変更のため、SETI@home のアカウントは、
従来の作業量合計と、新規の作業量合計とを、別々に持つことに
なるでしょう。
従来の作業量合計とは、現在のSETI@homeで解析したワークユニット
の総数です。
この値は[BOINCに全てが移行した後は]、変わることはなくなり、
従来の作業量合計に基づく最終結果のスコアボードが、私たちのWebサイトの一画に
残ります。 新規の作業量合計のカウントはゼロから始まります。
SETI@homeのチームには何がおこるでしょうか?
SETI@home Classic のすべてのチームとその構成員は、
SETI@home/BOINCへ複写されて移行されました。
SETIQueue (および同様のプログラム)は、移行後も使えますか?
これらのプログラムは、従来のSETI@homeで大変有用だったのですが、
BOINCでは役に立ちません。 しかし、その機能のいくつかは別の方法で
代替することができます:
-
複数のワークユニットをバッファリング訳注1
することは、今度はBOINCクライアントそのものがやってくれます。
サーバにつないだときに、一度にどのくらいの量の仕事をとってくるべきか、
BOINCに指示できるようになっています。
-
インターネットに直接つながってはいないが、LANを通じて
つながっているホスト(訳注:ホスト=参加者のコンピュータのこと)については、
Unix上のSquid や、
Windows上[で動く]
FreeProxyなどの、 HTTP 1.0 プロキシを使うことによって、
BOINCに参加させることができます。
-
ネットワークに接続されていないホストは、現在のところBOINCに参加する
ことはできません。 将来は、解決策が作られるかもしれません。
どのプラットフォームがサポートされるのでしょうか?
最初は、Windows/X86, Linux/X86, Solaris/SPARC, そして Mac OS X
がサポートされています。
Windows版はグラフィカルなインタフェースをもち、
他の版はコマンドラインインターフェースを持ちます。
最終的には、ほとんどのプラットフォームが、両方のインターフェース
で使えるようになるでしょう。
マルチプロセッサのマシンで、
複数のクライアントを走らせることができますか?
できます。 しかし、複数個、走らせる必要はありません。
というのは、BOINCは自動的にホストのプロセサを全部使うからです
(あなたが、そうするな、と指定しないかぎりは)。
入力と出力のファイル形式は変わるでしょうか?
変わります。
新しいデータ形式はXMLに近いものです(正式なXMLではありません 訳注2 )。
その(XML的な)データ形式を扱うため、SETI@homeの解析結果(ワークユニット内で
見つけた信号)の内容を表示するプログラムは、変更が必要です。
ファイル形式とネットワーク通信についての情報
は、ここ
(訳)
(原文)
にあります。
ワークユニットと結果のファイルの大きさは、現在とほぼ同じになるでしょう。
BOINCは安全でしょうか?
公開して実施される分散コンピューティングは、セキュリティについて
たくさんの課題があり、参加者への脅威と、プロジェクトへの脅威の、
両方を含んでいます。 それらのいくつかが、
ここで議論されています。
BOINCは、ダウンロードしてきた実行可能コード(訳注:プログラムのこと)が、
正当なものであることを保証するため、「デジタル署名」と呼ばれる仕組みを使います。
- (訳注1): バッファリング
- ここで言っているバファリングとは、SETIQueueなどにある機能の
一つです。 複数のワークユニットをダウンロードして保存しておき、
サーバがダウンしていても、クライアントは次のワークユニットを
使って、続けて解析をすることができるようにするものです。
- (訳注2): 正式なXMLではない
- タグの使い方はXMLにあわせてありますが、well-formed XMLではありません。
上記リンク先にある、WUの例をみると、CDATA内でもないのに、[<] が
WUの信号データ部分に現れているように見えます。 stateファイルの例では、
トップレベルのタグが複数ならんでいます。
Outputファイルの例は、2004/7/30の段階でもまだ載っていません。